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理事長挨拶

赤池孝章 この度、令和6年5月18日付けで、日本酸化ストレス学会の理事長を拝命しました。伝統ある日本酸化ストレス学会の理事長就任の栄誉と重責に身の震える思いがいたします。また、新執行体制においては、伊東 健(弘前大学)・内藤裕二(京都府立医科大学)・西田基宏(九州大学)・本橋ほづみ(東北大学)・李 昌一(神奈川歯科大学)の5名の新副理事長と共に日本酸化ストレス学会の舵取りに当たることとなりました。新理事・代議員の皆様のご支援、ご協力のもと、本学会の発展のために全力を尽くす所存です。
日本酸化ストレス学会は、2006年に吉川敏一理事長(当時)により、関連学協会が統合・改組されて以来、これを継承してきた小澤俊彦元理事長・豊國伸哉元理事長・内藤裕二前理事長の優れたリーダーシップにより多彩な進化を果たしました。例えば、2014年には、17th SFRR International (SFRRI)Biennial Meetingを京都にて開催し、大きな成功を納めました。さらに、2018年の法人化以降は、登録会員数などの動向や会務・予算運営等の財政基盤も安定感を増して年次学術集会の開催などの学会運営は毎年順調に推進されています。また、内藤前理事長にあっては、学会機関誌であるJCBNの発刊・運営において大きな成果を収められ、2020年〜2023年の4年間に及ぶ未曾有の新型コロナパンデミックによる世界の社会・経済情勢の低迷にもかかわらず、本学会は着実に発展して参りました。
先日、SFRRI理事長のGiovanni E. Mann教授から届きました朗報をご紹介いたします。2027年の23rd SFRRI Biennial Meetingを我が国(仙台)にて開催することが内定いたしました。これを受けて現在、執行部では、早速プログラム委員会を設置して、開催に向けた国内外の関係者や関連学術学協会との連携強化と準備体制の構築を開始いたしました。日本酸化ストレス学会の会員の皆様におかれても、前回(2014年・京都)のSFFRI Biennial Meetingと同様に大きなご支援を賜りますようお願い申し上げます
近代のフリーラジカル医学生物学は、酸化ストレスを病態の枢軸と見なすだけでなく、むしろ生理的なストレスシグナル応答として捉えることで革新的な展開を成し遂げました。すなわち、その学術の巨大な系譜は、Redox Biology(レドックス生物学)という新しい学術変革領域として急速に進展しています。ご周知の通り、日本酸化ストレス学会(SFRR Japan)は、SFRRIおよび SFRR Asiaの傘下・下部組織として運営されています。近年のRedox Biology研究の潮流の勢いは、SFRRI下部組織・米国SfRBMや欧州SFRR-Eの機関誌である、Redox BiologyやFree Radical Biology & Medicineなどが、直近数年で極めて高いステータス(IF)を獲得していることからも実感することができます。注目すべきは、これらハイインパクトジャーナルのEditorial Boardに、沢山の本学会役員と会員が名を連ねていることです。このことは、日本の学術研究の質の高さを反映するだけでなく、本学会(SFRR Japan)が、国際的に先導的な役割を演じていることを示しています。
そこで、日本酸化ストレス学会の世界レベルの高い学術性と研究力を基盤にして、レドックス生命科学分野の基礎と医学・臨床研究における最先端の研究成果を、国内外のアカデミアに広く提供することで、異分野・多分野への波及効果を目指した学術交流活動を精力的に推進します。例えば、学際的な学会運営の強化に向けて、関連学協会、特に1998年ノーベル医学・生理学賞の対象となったNO研究を、本学会に糾合するため、日本NO学会を改組・再編し、新興領域であるレドックスシグナル研究をさらに活性化いたします。当該組織改革により、本学会の多様な学術活動の裾野を拡げることで、日本酸化ストレス学会のさらなる発展と深化・活性化を図る所存です。
これまでの歴代理事長と執行部により鋭意推進されてきた学会運営を継承し、今後なお一層の革新的な学会運営に取組むことにより、日本酸化ストレス学会のみならず、世界のレドックス生命科学の加速度的な発展に大きく貢献すべく最大限の努力をいたしますので、会員の皆様のご理解、ご支援、ご指導をいただきますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

日本酸化ストレス学会理事長 赤池孝章 (東北大学大学院医学系研究科・教授)